第2回となる今回は、フレームレートとスキャン方式の基本について解説します。
カメラや編集ソフト、納品仕様書などで「24P」「30P」「60i」「fps」といった表記を見かけることがあります。これらは、映像の見え方やデータ量、撮影・編集時の設定に関わる基本的な用語です。
フレームレートとは、1秒間に表示される静止画の枚数を表す数値です。映像の滑らかさや雰囲気を左右する要素であり、用途によって適した設定は異なります。
ただし、発注する企業側がすべての数値や方式を覚える必要はありません。大切なのは、「どこで使う映像なのか」「どのような印象にしたいのか」を制作会社へ共有することです。
この記事では、フレームレートとスキャン方式の基本について、企業映像やVR映像を制作する現場の視点も交えながら解説します。
シネマレイがお届けする「映像制作のキホンのキ」シリーズ。
映像制作の現場では、当たり前のように使われている撮影技術や演出手法があります。
しかし、それらは単なるテクニックではなく、視聴者に伝わりやすい映像をつくるための工夫です。
本シリーズでは、映像制作のプロフェッショナルチームが、映像づくりの基本をわかりやすく解説します。
目次
1. フレームとは?映像を構成する1枚1枚の静止画
2. フレームレートとは?1秒間に表示されるフレーム数
3. 24fps・30fps・60fps・120fpsの違い
4. フレームレートが高ければよいとは限らない理由
5. なぜ映画は24fpsが多いのか
6. スキャン方式とは?プログレッシブとインターレースの違い
7. フレームレートとスキャン方式の関係
8. 実際の映像制作ではどんな場面で問題になるのか
9. どのフレームレートを選べばよい?
10. まとめ:フレームレートは映像の印象と使いやすさを左右する基本設定
1. フレームとは?映像を構成する1枚1枚の静止画
フレームとは、映像を構成する1枚1枚の静止画のことです。映像は、写真のような静止画が連続して表示されることで、動いているように見えます。昔のパラパラ漫画を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
たとえば、人物が手を上げる映像も、実際には「少し手が上がった状態」「さらに上がった状態」「完全に上がった状態」といった静止画が細かく並んでいます。この1枚1枚がフレームです。
映像制作では、「何秒目か」だけでなく、「その秒の何フレーム目か」まで扱う場面があります。フレームの考え方を知っておくと、fpsやタイムコード、ドロップフレームといった用語も理解しやすくなります。
2. フレームレートとは?1秒間に表示されるフレーム数
フレームレートとは、1秒間に何枚のフレームを表示するかを表す数値です。単位にはfps(Frames Per Second)が使われます。
たとえば、30fpsであれば1秒間に30枚の静止画を表示し、60fpsであれば1秒間に60枚の静止画を表示します。一般的には、フレーム数が多いほど動きは滑らかに見えやすくなります。
ただし、フレームレートは高ければ高いほどよい、というものではありません。映像の目的や見せたい印象、データ容量、編集環境、再生環境によって適した設定は変わります。
| フレームレート | 意味 | 見え方のイメージ |
| 24fps | 1秒間に24枚のフレームを表示 | 映画らしい質感になりやすい |
| 30fps | 1秒間に30枚のフレームを表示 | 一般的で見やすい印象になりやすい |
| 60fps | 1秒間に60枚のフレームを表示 | 動きがなめらかに見えやすい |
| 120fps以上 | 1秒間に120枚以上のフレームを表示 | 非常になめらかだが、機材や処理負荷が大きい |
3. 24fps・30fps・60fps・120fpsの違い
フレームレートごとの違いは、単に数値の違いだけではありません。映像の印象や向いている用途にも関係します。
| fps | 主な用途 | 特徴 |
| 24fps | 映画、シネマ調の映像、ブランドムービー | わずかな残像感や動きのクセがあり、映画らしい印象を出しやすい |
| 30fps | テレビ番組、Web動画、企業紹介動画、一般的な動画、360°VR映像 | 自然で見やすく、データ量とのバランスも取りやすい |
| 60fps | スポーツ、ゲーム、アクション、動きの速い映像 | 動きが非常になめらかで、速い動きも見やすい |
| 120fps以上 | ハイエンドゲーム、スロー表現、高品質な体験型コンテンツ | 非常に滑らかだが、撮影・編集・再生環境に高い性能が求められる |
企業映像では、30fps前後が扱いやすいケースが多くあります。シネマレイでも、企業紹介動画やインタビュー動画、360°VR映像などでは30fpsを採用するケースが多くあります。
一方で、動きの速い製品デモやスポーツイベント、工場の高速で動く生産ラインの撮影では、より高いフレームレートを検討することがあります。フレームレートを上げることで、製品の動きや機械の挙動をより滑らかに記録しやすくなるためです。
また、シネマレイでご提供することが多いVR映像コンテンツでは、映像自体のフレームレートと、VRデバイス内部の描画性能は別の考え方になります。映像制作では30fps前後を採用するケースが多い一方、VRアプリでは快適な体験のために高い描画性能が求められる場合があります。
4. フレームレートが高ければよいとは限らない理由
フレームレートが高いほど、映像の動きは滑らかに見えやすくなります。しかし、制作現場では「高いほど正解」とは考えません。
高フレームレートの映像は、1秒間に扱うフレーム数が増えるため、データ容量も大きくなります。撮影データが重くなれば、保存容量や転送時間、編集時の処理負荷にも影響します。PCの性能や再生環境によっては、編集時や確認時に映像がスムーズに再生できない場合もあります。
また、表現面でも注意が必要です。動きが滑らかすぎることで、映画的な雰囲気よりも、テレビ番組や舞台裏映像のようなリアルな印象に近づくことがあります。映像の目的によっては、あえて24fpsの質感を選ぶ方が合う場合もあります。
発注側が覚えておきたいポイント
フレームレートは「高いほど良い」ではなく、「用途に合っているか」で考えることが大切です。
映像の使用先、再生環境、見せたい印象を事前に共有すると、制作会社が適切な設定を選びやすくなります。
5. なぜ映画は24fpsが多いのか
「なめらかに見えるなら、映画も60fpsでよいのでは」と感じるかもしれません。しかし、映画では今でも24fpsが多く使われています。
24fpsには、わずかな残像感や動きのクセがあります。この独特の見え方が、私たちに映画らしさ、非日常感、ドラマ性を感じさせる要素になっています。
一方、60fpsは動きが非常になめらかで、現実に近い印象を与えやすい設定です。スポーツやゲーム、体験型コンテンツには向いていますが、映画的な演出を狙う映像では、リアルすぎる印象になることもあります。
つまり、フレームレートは技術仕様であると同時に、映像の印象を設計する要素でもあります。どのフレームレートが正解かは、映像で何を伝えたいかによって変わります。
6. スキャン方式とは?プログレッシブとインターレースの違い
フレームレートとあわせて知っておきたいのが、スキャン方式です。スキャン方式とは、映像を画面にどのように表示するかを表す方式です。代表的なものに、プログレッシブスキャンとインターレーススキャンがあります。
プログレッシブスキャン
プログレッシブスキャンは、1枚のフレーム全体を一度に表示する方式です。写真を1枚そのまま見せるようなイメージで、輪郭がくっきりしやすく、動きの速い場面でも自然に見えやすい特徴があります。
インターレーススキャン
インターレーススキャンは、1枚のフレームを奇数ラインと偶数ラインに分け、交互に表示する方式です。昔のテレビ放送で、限られたデータ量でも滑らかな映像を送るために使われてきました。ただし、動きの速い場面では、輪郭がギザギザに見えたり、ブレたように見えたりする場合があります。
現在はどちらが主流?
現在の動画制作では、スマートフォンやパソコン、動画配信サービスなど、多くの再生環境がプログレッシブスキャンを前提としているため、一般的な動画制作においてはプログレッシブスキャンが主流となっています。
企業紹介動画やサービス紹介動画、採用動画、Web掲載用コンテンツなども、多くはプログレッシブ方式で制作されています。
シネマレイでも、企業映像やWeb動画、展示会映像、XR・VRコンテンツなど、現在主流の再生環境に合わせてプログレッシブスキャンを採用しています。
| 方式 | 表示方法 | 特徴 |
| プログレッシブスキャン(P) | フレーム全体を一度に表示 | 現在の動画制作やWeb配信で主流。輪郭がくっきりしやすい |
| インターレーススキャン(i) | 奇数ラインと偶数ラインを交互に表示 | 昔のテレビ放送で使われた方式。動きの速い場面では乱れが出ることがある |
7. フレームレートとスキャン方式の関係
ここまで、フレームレートとスキャン方式をそれぞれ解説してきました。
実際の映像制作では、この2つを組み合わせて映像の仕様が決まります。そのため、「30P」「60P」「60i」のような表記でまとめて表現されることがあります。
数字はフレームレートを、アルファベットはスキャン方式を表しています。
・30P:30fpsのプログレッシブスキャン
・60P:60fpsのプログレッシブスキャン
・60i:インターレーススキャンを用いた映像方式
| 表記 | 意味 | 一言でいうと |
| 30P | 1秒間に30フルフレームをプログレッシブ方式で表示 | 一般的な動画で扱いやすい |
| 60P | 1秒間に60フルフレームをプログレッシブ方式で表示 | 動きがなめらかに見えやすい |
| 30i | インターレース方式で表示される映像規格 | 古い映像規格で見かけることがある |
| 60i | 1秒間に60フィールドをインターレース方式で表示 | 放送系の仕様で見かけることがある |
発注する側は見積書や仕様書、納品条件でこれらの表記を見たときに、「フレームレートと表示方式に関する指定である」と理解できると、制作会社との確認がしやすくなります。
8. 実際の映像制作ではどんな場面で問題になるのか
フレームレートやスキャン方式は、普段動画を見るだけであればあまり意識しないかもしれません。しかし、映像制作の現場では、撮影、編集、納品、再生環境に関わる重要な設定です。
たとえば、複数のカメラで撮影した素材のフレームレートが混在していると、編集時に変換や確認が必要になる場合があります。また、高フレームレートの素材はデータ容量が大きくなるため、長時間のイベント記録映像では保存や受け渡しの負荷が高くなることもあります。
VRや展示会向けの体験型コンテンツでは、表示の滑らかさが体験品質に関わる場合があります。一方で、Web掲載用の動画では、画質、容量、読み込み速度、ユーザーの再生環境とのバランスが大切です。
| 場面 | 起きやすいこと | 発注側の確認ポイント |
| 企業紹介動画 | 仕様を意識しなくても制作できることが多い | Web掲載、営業資料、展示会利用など使用先を伝える |
| イベント記録映像 | 長時間収録でデータ容量が大きくなりやすい | 収録時間、納品形式、後日編集の有無を確認する |
| スポーツ・アクション映像、工場の高速で動く生産ライン | 低fpsだと動きがカクついて見える場合がある | 動きの速い被写体が多いかを共有する |
| VR・体験型コンテンツ | 滑らかさが体験品質に関わることがある | 使用デバイスや再生環境を共有する |
| 放送・配信用動画 | 指定規格に合わせる必要がある | 納品仕様書や配信先の条件を制作会社に共有する |
9. どのフレームレートを選べばよい?
ビジネス用途での映像では、制作会社側が映像の目的や使用先に応じて適切なフレームレートを選定することが多くあります。最初から「必ず24fpsで」「必ず60fpsで」と細かく指定する必要はありません。
むしろ重要なのは、「映像の目的や使い方を正しく伝える」ことです。Webサイトに掲載するのか、展示会の大型モニターで流すのか、営業資料として使うのか、VRコンテンツとして体験してもらうのかによって、適した設定は変わります。
特に、シネマレイでも近年ご依頼が増えている「Webサイト掲載用の動画」では、表示速度やデータ容量、CMSや動画配信サービスのアップロード制限を考慮する必要があります。高いフレームレートのまま書き出すとファイルサイズが大きくなり、ページの表示速度や再生環境に影響を与える場合があります。そのため、用途によってはフレームレートを下げ、画質とデータ容量のバランスを取ることがあります。
また、見せたい印象も大切です。映画のような雰囲気を出したいのか、リアルでなめらかな映像にしたいのか、容量や扱いやすさを優先したいのかによって、フレームレートの考え方は変わります。
| 優先したいこと | 向いている選択 | 補足 |
| 映画のような印象 | 24fps | ブランドムービーやシネマ調の演出に向く場合がある |
| 汎用的で扱いやすい | 30fps | 企業紹介動画やWeb動画で使いやすい |
| 動きをなめらかに見せたい | 60fps | スポーツ、アクション、製品デモなどに向く |
| Webサイトへの掲載やアップロード制限への対応 | 必要に応じてフレームレートを下げる | 低容量化や読み込み速度を優先する場合は、画質とのバランスを見ながら調整する |
| VRや高品質な体験設計 | 60fps以上を検討 | 使用デバイスや再生環境に合わせた検討が必要 |
| 容量や編集負荷を抑えたい | 必要以上に高fpsにしない | 用途に対して過剰な設定にしないことが大切 |
発注前に共有しておきたいこと
・映像を使用する場所:Webサイト、展示会、営業資料、SNS、社内研修など
・映像の内容:インタビュー、製品紹介、イベント記録、VR、マニュアル動画など
・納品条件:納品形式、配信先の仕様、再生デバイス、画面サイズ、アップロード上限など
・見せたい印象:映画らしさ、リアルさ、滑らかさ、軽さ、見やすさなど
10. まとめ:フレームレートは映像の印象と使いやすさを左右する基本設定
フレームレートとは、1秒間に表示されるフレーム数を表す数値です。24fps、30fps、60fps、120fps以上といった違いは、映像の滑らかさや印象、データ量、編集・再生環境に関わります。
フレームレートが高いほど動きは滑らかに見えやすくなりますが、必ずしも高ければよいわけではありません。映画らしい印象を出したい場合には24fpsが合うこともあり、汎用的な企業映像では30fpsが扱いやすい場合もあります。Web掲載用の動画では、容量やアップロード制限に合わせてフレームレートを調整する場合もあります。動きの速い映像やVR、体験型コンテンツでは、より高いフレームレートを検討することもあります。
また、映像制作ではフレームレートだけでなく、プログレッシブやインターレースといったスキャン方式も関係してきます。納品先や再生環境によって適切な設定は変わるため、事前に確認しておくと安心です。
大切なのは、「どこで使う映像なのか」「どのような印象を伝えたいのか」を制作会社へ共有することです。フレームレートを理解しておくことで、映像制作の打ち合わせや仕様確認もよりスムーズになるでしょう。
シネマレイでは、撮影や編集の技術だけでなく、映像が果たす役割や伝える目的を大切にしています。これからも「映像制作のキホンのキ」シリーズを通じて、伝わる映像づくりの考え方をご紹介していきます。
映像制作をご検討のご担当者さま
企業紹介動画、製品紹介動画、イベント映像、VR映像など、用途に合わせた映像制作をご提案しています。
撮影・編集・納品仕様まで含めて相談したい方は、お気軽にご相談ください。
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