野球ユニフォームのカスタマイズを簡単・便利に。3Dシミュレーターで注文数1.5倍を実現 - 株式会社 シネマレイ|CinemaRay  
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野球ユニフォームのカスタマイズを簡単・便利に。3Dシミュレーターで注文数1.5倍を実現


野球ユニフォームのカスタマイズを簡単・便利に。3Dシミュレーターで注文数1.5倍を実現



アメリカの歴史あるスポーツ用品ブランド『Rawlings』を日本で展開する、ローリングスジャパン合同会社様。デザインを組み合わせて制作できるオリジナルのアパレル製品を提供していますが、型や色などカスタマイズの豊富さゆえに、“複雑すぎる”事態に。300ページにもおよぶ紙のカタログが、注文の複雑さや受注・製造ミスの原因になっていました。

そこで、アパレル製品をWeb上でカスタマイズできるシミュレーター「ORDER TEAM APPAREL SIMULATOR」を制作。カスタマイズのハードルが大きく下がった結果、注文数が約1.5倍に増加し、営業時のデザイン提案の質・量も向上。あわせて、受注時や製造時のヒューマンエラーも大幅に減少しました。

シミュレーター制作による効果や今後の展望などについて、ローリングスジャパン合同会社 商品開発部 マネージャー 小林 健一様にお話を伺いました。


この事例のポイント

○膨大なカタログ情報をシミュレーターに集約し、カスタマイズの複雑さを解消
○ユーザー、販売店、営業担当などが幅広く活用し、注文数の増加や受注・製造ミスの減少に寄与
○チーム独自のロゴを入れられるマーキング機能を実装し、ユニフォームオーダーの体験価値を向上




複雑なカスタマイズが招いた「注文のしにくさ」。デジタル化で解決へ

――はじめに、御社の事業内容を教えてください。

小林:当社は野球を中心としたスポーツ用品の製造と販売を行っています。本社はアメリカにあり、140年近い歴史を持つ野球用品ブランドとして、現地では高い認知度を誇っています。当社はその日本法人です。

――今回制作したシミュレーター「ORDER TEAM APPAREL SIMULATOR(オーダーチームアパレルシミュレーター)」について、概要をお聞かせください。

小林:当社が展開するユニフォームなどのアパレル製品をWeb上でカスタマイズできる3Dシミュレーターです。オーダーアイテムを選択すると、シミュレーション画面が表示。360度自由に回転させて全体のイメージを固めながら、色・柄・パーツなどのデザインをカスタマイズできます。



野球のユニフォームでは、チーム名のロゴが重要です。Web上でロゴもデザインできるよう、テキスト入力や画像の挿入でオリジナルのロゴを入れられる「マーキング機能」を実装しました。袖のロゴや背番号もカスタマイズ可能で、フォントは約20種類の書体(※)から選択できます。

カスタマイズしたデータはWeb上で一時保存でき、PNG形式の画像ファイルやエクセル形式のオーダー用紙を出力することも可能です。チームメンバーで話し合いながらデザインをつくる過程を楽しむ。デザインが決まったらスムーズに注文する――こうした一連のユーザー体験を重視して設計しました。

※選択できるフォントの数は商品によります。

――シミュレーターを制作した背景・経緯をお聞かせください。

小林:野球にはオリジナリティを大切にするチームが多く、その想いに応えられるよう、当社では豊富なカスタマイズを提供しています。

しかし、カスタマイズの豊富さゆえに、「複雑すぎてオーダーしにくい」問題が生じていました。従来の紙のカタログは約300ページにおよび、カスタマイズのバリエーションは1商品あたり1万通りを超えるほど。検討の途中で「面倒くさい」「もういいや」と諦めてしまうお客様もいらっしゃいましたし、社内からも「わかりにくい」と不満の声が上がっていました。
複雑であればあるほど、おのずとヒューマンエラーも増えます。当時は紙のオーダー用紙にお客様や販売店のスタッフ、当社の社員が手作業で記入。項目が多いため非常に手間がかかり、受注や製造のミスも少なからず起きていました。



また、デザインの制作・修正に時間がかかることも課題でした。正式な受注の前に、お客様が希望するカスタマイズ内容を当社のデザイナーがデザインデータに起こす。それをお客様にご確認いただき、修正を重ねていく。デザインが決まるまでに数か月かかるケースもあり、お客様をお待たせした結果、失注してしまうことも珍しくありませんでした。

こうした課題を解決するために、注文フローをデジタル化し、誰もが簡単・便利にカスタマイズできるシミュレーターを制作することにしました。

重視したのは「スムーズな操作性」。技術力と信頼感が決め手に

――シミュレーターの制作にあたり、特に重視した点は何ですか?

小林:最も重視したのは操作性です。シミュレーターを操作していて、なかなか色が変わらなかったり次のステップへ進めなかったりすると、ストレスを感じてしまいます。直感的に操作でき、スマートフォンでも高速かつなめらかに動作することを最優先に考えました。

――シミュレーター制作会社の選定はどのように進めましたか?

小林:インターネットで検索して制作会社を探したのですが、当社の事情があり、非常に難航しました。実は今回制作したシミュレーターの前に、2Dのシミュレーターが存在していたんです。しかし、カタログ掲載商品の一部にしか対応しておらず、ロゴのマーキング機能もないため実用性に欠け、結局使われなくなってしまいました。

こうした経緯もあり、今回のシミュレーター制作では必ずマーキング機能を実装すると決めていましたが、当社が求める仕様を実現できる会社が見つからなくて……。スケジュールにも遅れが生じる中、シネマレイさんにお声がけしました。

――最終的にシネマレイを選ばれた決め手をお聞かせください。

小林:最大の決め手は「シネマレイさんとなら安心して制作を進められる」と確信したことです。

シネマレイさんに相談した当時、私は強い焦りを感じていました。シネマレイさんはそんな私や当社に寄り添いながら、必要な要件・機能を実現できるか念入りに検証し、「できる」と回答してくださった。安請け合いではなく、技術的な根拠を明確にして丁寧に説明してくださったことに、大きな信頼感を覚えました。

すでに計画が遅れている事情を汲み取り、できる限り最速の制作スケジュールを立てていただいた点もありがたかったですね。加えて、システムを構築するサーバーについてもアドバイスをいただけたことや、ロゴマーキングを含むすべての機能をシネマレイさんの社内で開発できることも後押しになりました。

注文数が1.5倍に増加!ユーザー体験と提案力が向上し、業務効率化も実現

――どのようなプロセスでシミュレーターを制作しましたか?

小林:はじめに紙のカタログや商品のサンプル、色見本などをお送りし、商品やデザインを一つひとつ確認して理解を深めていただきました。塗り分けやパーツなどの違いを見極め、細かなパターンを洗い出しながら仕様を固めていきました。

その後、約9か月間の開発・検証を経て、2025年3月に第一弾のリリースを実施。2025年10月には依頼したすべての製品についてリリースが完了する予定です。

リリースを2回に分けたきっかけは、シネマレイさんからの提案でした。「販売機会を損失しないよう、カスタムオーダーニーズの高い製品を先に公開しましょう」とアドバイスしてくださって。おかげで事前告知ができ、商機を逃さずに注文を受けることができました。システム面以外も柔軟に提案してくださって、とても頼もしかったですね。1回目のリリースで明らかになった課題を2回目のリリースで解決できる点も、よいご提案だったと思います。
(※本インタビューは2025年8月に実施)

――制作過程で苦労したことや工夫したことはありますか?

小林:一番はやはり、ロゴのマーキング機能ですね。他社ではマーキングサービスを提供する企業と契約し、月額料金を支払ってシステムを利用しているケースが多いと聞きます。しかし当社は、マーキング機能を自社のシステムに組み込むことにした。こだわりがある分、制作過程でシネマレイさんと何度もやり取りを重ねました。

フォントやカーニング(文字の間隔調整)に関しては、アドバイスをいただきながら私たちも制作に携わっています。苦労はしましたが、高品質で使い勝手もいい機能を実現できましたし、経験やデータが私たちの財産になりました。

――リリースした後、シミュレーターをどのように活用されていますか?

市口:まずエンドユーザーであるお客様には、シミュレーターでデザインをカスタマイズし、出力したオーダー用紙を販売店に持ち込んで注文いただいています。

また、販売店サイドでも、お客様にカスタマイズを提案する際にシミュレーターを活用してくださっているようです。

社内でも、カスタマーサポートから製造までさまざまな場面で活用しています。たとえば営業担当は、販売店だけでなく学校やボーイズリーグなどの野球チームにも訪問していますが、お客様の要望を聞きながらシミュレーターを操作し、その場で複数のデザイン案を制作・提案しています。

――シミュレーターの導入により、どのような変化・効果がありましたか?

小林:特に顕著なのは、注文数の増加です。直近では注文数が月単位で約1.5倍になり、その8割はシミュレーター経由。これまで当社の営業担当や販売店と接点がなかったお客様からの注文も増えています。今後さらに告知を強化すれば、注文数もより伸びていくと期待しています。

また、営業時の提案もしやすくなりました。当社と販売店の間には代理店が介在していますが、幅広い競技のさまざまなブランドを扱う中で、当社の製品を紙のカタログで営業することは相対的にハードルが高かったはずです。シミュレーターを使って営業できるようになったことで、提案の質と量が明らかに向上したと実感しています。



小林:以前の大きな課題だった、ヒューマンエラーも激減しました。かつては「紙のオーダー内容とデザインが合っているか」を受注時と製造時の2段階で確認していましたが、シミュレーターを導入したことで照合が不要に。ミスが減少したことに加え、作業時間も短縮できました。

さらに、シミュレーターで生成されたロゴデータは工場での印刷時に使うツール(Adobe Illustrator)に対応した形式(SVG)で出力できます。これにより、従来は一からデザインデータを作成していたデザイナーの作業負担が大幅に軽減されました。SVG形式での出力機能は、シネマレイさんの技術力と努力のおかげで実現できたものです。ご尽力くださったことに大変感謝しています。

変わりゆくトレンドに対応し、シミュレーターも進化させていく

――今後、どのようにシミュレーターを活用していくか、展望をお聞かせください。

小林:世の中のトレンドはどんどん移り変わり、お客様のニーズも変化していきます。その意味ではシミュレーターにも最終的な完成形はなく、継続的な改善が必要です。

紙のカタログの場合、新商品を追加できるのは年1・2回で、発行のタイミングや印刷部数も考慮しなければなりません。シミュレーターにはこうした制約はなく、スピード感をもって企画を進められます。お客様の要望を取り入れながら、バージョンアップしていきたいですね。

――最後に、シミュレーターを制作した感想と、今後シネマレイに期待することをお聞かせください。

小林:正直に言うと、契約した当初はわずかな不安もありました。シネマレイさんはシミュレーター制作の技術・実績は豊富ですが、アパレルへの知見はあまりなかったためです。実際に、アパレルの特徴を理解していただくまでに何度も打ち合わせを重ねました。根気強くお付き合いいただいたからこそ、しっかりしたシミュレーターに仕上がったと思います。シネマレイさんに依頼して本当によかったです。

3DCGのクオリティも、品質と操作性の最適なバランスを追求した結果、満足のいく仕上がりになりました。展示会で販売店の方とお話しする際にも、グラフィックのリアルさと美しさを高く評価していただいています。

今後もデザインや機能を充実させて、よりオリジナリティが高く、お客様に満足いただける製品・サービスをお届けしていく。そのために、シネマレイさんには心強いパートナーとして、一緒に歩んでいただけたら幸いです。







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